価値ある芸術とは何か?

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みなさま、ごきげんよろしゅうございます。

各地の紅葉が見ごろを過ぎ始めた今日この頃。

桜と紅葉は盛りを見極めるのが大変難しいのですが、

少しくらい時期がずれてしまっても、

散りぎわを愛でる心の余裕は持っていたいものです。

 

 

 

 

六本木サントリー美術館で現在開催中の久隅守景展を22日に鑑賞してきました。

会期後半ということもあり、連休中にもかかわらず意外と客足はまばら。

今回の目玉である「夕顔棚納涼図」はすでに展示終了していましが、

まだまだ珠玉の作品が多数展示されていて、ゆったりと鑑賞することが出来ました。

 

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サントリー美術館「逆境の絵師 久隅守景 親しきものへのまなざし」展 開催 (サントリー美術館HP)

 

江戸時代初期の絵師・久隅守景は、狩野派最大の巨匠、狩野探幽に師事し、探幽の姪と結婚。

四天王と称されるほど、実力のある絵師でした。

しかし、身内の不行跡などもあって狩野派を破門されたのちは、加賀前田藩に移り、

庶民の暮らしを生き生きと描いた耕作図や瑞々しい筆致の四季花鳥図などを残しました。

 

多くの傑作が現存し、画力も確かな守景ですが、他の日本画絵師同様、

自国の芸術に対して興味もなければ知識も持ち合わせていない大多数の日本人は、

残念ながら名前すら知らない存在です。

 

現代日本人はどうも芸術オンチ気味で、自分の美意識を磨くこともせず、

ただどこかの誰かが「これは価値があります!」と明言したものだけを鵜呑みにする傾向があります。

 

その遠因には、小中高校生の美術教育の不甲斐なさにもあるのです。

何しろ、自国の美術をきちんと教えられる教師がいない+教育方針もない。

なので、毎回のように水彩絵の具で基礎も教えずに絵を描きなぐらせたり、

粘土で不可思議な物体を作らせたりして、お茶を濁しているだけ。

 

で、肝心の日本美術教育はどうなっているのかというと、

なぜか歴史の時間に組み込まれている「文化史」という大雑把なくくりで、さらーっと触れるだけ。

校外授業で美術館や博物館に行ったりすることも稀。

ギャラリートークを聴かせたり、専門家を招いて特別授業を行うこともしない。

これでは美術を理解するどころか、日本画の代表的画家の名前すら覚えられません。

結局、人がたくさん入る展覧会といえは、

人口に膾炙している印象派やルネッサンス絵画、浮世絵ばかりになってしまうのです。

 

確かに、日本画、特に肉筆画は、背景を知らなければ鑑賞が難しい面もあります。

だからこそ、教養の一つとして、若年期にきちんと質の高い芸術に触れておくべきなのです。

 

最近でこそ、伊藤若冲や長谷川等伯はボチボチ人出を集められるようになってきましたが、

まだまだ印象派展覧会にはかないません。

 

ヨーロッパの名画を手放しで持ち上げるのも結構ですが、

まずは自国の文化の成り立ちくらい、さわりだけでもいいから知っていてほしい。

西欧絵画重視教育の弊害は、外国人へ日本美術を紹介すらできない、

無教養社会人を量産しているのです。

 

筆者は特に右寄り思想は持ち合わせていませんし、自由に描き散らかす図工が悪いとも言いませんが、

真に価値ある自国芸術を知り、文化的教養を身に着けられる美術教育を、

小学生くらいからきちんと実践してほしいなぁ・・・、と切に願っております。

 

文責/篠井 棗

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