脱いだ着物の残り香が・・・

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みなさま、ごきげんよろしゅうございます。

天気予報通り、つかの間の好天が訪れた11月下旬となりました。

こうも気温の変化が激しいと、着るものも困りますが、

寝具にも困ってしまいます。

うっかり薄手の寝間着や布団を使っていると、

朝にはすっかり鼻声・・・なんてことになってしまいそうです。

 

 

前回は「名画を切り、名画を継ぐ」という、ちょっと迷走気味な企画展を開催していた根津美術館。

しかし、11月13日から開催されている「誰が袖図―描かれたきもの―」展の方は、

着物好きには見逃せない内容となっています。

 

コレクション展 誰が袖図―描かれたきもの― (根津美術館HP)

 

「誰が袖」は、「たがそで」と読みます。

文字通り、誰が着たかわからない着物という意味で、

脱いだ着物が衣桁(着物用ハンガーラックみたいなもの)に無造作にひっかけられた様子が描かれています。

屏風絵になっているものが多いのですが、風俗画の一部に描き添えられることもあります。

 

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色とりどりの脱ぎ捨てられた着物が、持ち主の気配を感じさせる・・・。

余白を愛し、鑑賞者の想像力に制限を加えない、日本画ならではの美しい題材です。

 

同時代の着物の趣味趣向が垣間見えるのも、鑑賞の楽しみの一つ。

戦乱の世が終わり、徳川政権が安定しつつあった江戸時代初期から中期は、

刺繍・染・箔押など、新しい装飾技術が矢継ぎ早に生み出された時期でもあります。

誰が袖図には、そういった活気あふれる新しい時代のファッションが、豪華絢爛に描かれているのです。

 

余談ですが、誰が袖図は、冊子形式になっているものもあります。

これは雛形本として着物の図案カタログのような役割を果たしていました。

いつの時代も、女性が衣装に寄せる興味関心は高いものなのですね。

 

それにしても、「脱ぎ捨てられた着物」という題材には、そこはかとない色気が感じられます。

着物を脱いだ女性は、屏風の陰でいったい何をしているのか・・・。

想像が(妄想が?)掻き立てられてしまいます。

「見えそうで見えない」究極の姿

いやぁ、大人の嗜好品ですね。

 

今回の展覧会では、根津身術館所蔵の誰が袖図屏風3点と、江戸時代の婚礼衣装、美人画、風俗画など、

着物に関わる多くの名品も展示されています。

 

通人ぶった高尚な企画の多い根津美にしては珍しく、江戸風俗を扱った今回の展示会。

着物好きならば、観ておいて損はないでしょう。

 

開催は12月23日(火・祝)まで。月曜が休館日です。

 

文責/篠井 棗

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