湖のほとりで、名品浮世絵鑑賞

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みなさま、ご機嫌よろしゅうございます。

土用の丑の日が過ぎ、季節はまさに夏真っ盛り

夏休み中の小中学生が、暑い街中を元気に走り回っている姿を見ると、

微笑ましいような熱中症が心配なような・・・

水分&ミネラル補給を忘れずに、青春の夏を満喫してくださいね!

 

 

 

 

宍道湖に沈む夕陽が美しい城下町、島根県松江市。

因幡の白兎を模した屋外展示オブジェで人気の高い、同市の島根県立美術館で、

浮世絵のコレクション展が開催されています。

 

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企画展 浮世絵の美―平木コレクションの名品

 

平木コレクションは、戦後の混乱期に散逸の危機に瀕した、三原コレクション・斎藤コレクションを、

リッカーミシン創始者・平木信二氏が引き継ぎ、更に収集品を加えた浮世絵コレクションです。

国内最大級の点数と、貴重な初期の浮世絵から明治期の物まで、

網羅的に収集されているのが特徴となっており、

その質の高さは国内コレクションでは東京国立博物館と肩を並べるものとなっています。

 

今回の見どころは、何と言っても浮世絵初期の貴重な作品から、

幕末期の葛飾北斎、歌川広重など有名どころまで、

時代を追って浮世絵美術史を概観出来る展示と、鈴木春信の見立て絵や東洲斎写楽の役者大首絵など、

人気の作品が惜しげもなく披露されている点でしょう。

 

地方美術館ならではの広々としたワンフロア展示なので、階段の昇降もなく、

車椅子の方でもゆったりと鑑賞できるようになっています。

 

そして、着物好きの方に特に注目してほしいのが、「空刷り」の表現。

空刷りとは、色を載せないで版木の彫跡だけで文様や質感を出す、浮世絵の技法です。

真っ白な素地に凹凸だけで卍繋ぎや橘文様が浮かび上がる繊細な仕上がりは、

ため息が出るほどの美しさです。

 

浮世絵版画は、役者絵・相撲絵・名所図会・美人絵などなど、

江戸時代の情報発信ツールとして、多くの庶民に熱狂的に愛されてきました。

しかし、印刷物で多くの枚数が刷られたため、美術品としての価値をあまり見出されないまま、

開国後は陶磁器の緩衝材(!)にされるなど、雑紙扱いされてしまいます。

 

日本人には身近すぎてしまった浮世絵版画の価値を「発見」したのは海外の好事家でした。

結果、多くの名品が海を渡ってしまったのです。

更にその後の第二次大戦の敗戦により、浮世絵だけではなく、

日本の美術品は壊滅的な被害を受けるとともに、

残った名品の数々も多数国外へ流出していきます。

 

そんな日本美術不遇の時代の中、コレクション散逸を憂えた日本の実業家たちの尽力によって、

平木コレクションは国内に留まることが出来たのです

 

現在、平木浮世絵美術館(旧リッカー美術館)の収蔵品は、

国内各地の美術館に巡回展示されています。(本館は休館中です)

島根県立美術館での開催は9月1日まで。その後、岡崎市美術博物館に巡回します。

 

せっかくの夏休み。

海も山もテーマパークもいいのですが、

日本のお宝がお住いの近くに巡回してきたら、ぜひ訪れてみてください。

江戸美術史の教養が身に着けられるのは言うまでもありませんが、

何しろ館内は涼しいので、熱中症対策にもうってつけです♪

 

文責/篠井 棗

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