近代日本画の価値

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みなさま、ごきげんよろしゅうございます。

天高く馬肥ゆる秋

おしゃれもしたいが美味しいものも食べたい季節。

もう十月なので、そろそろいいだろうとしゃぶしゃぶを敢行したところ、

外気温の高さにぐったりしてしまいました。

さすがに鍋ものは、まだ時期尚早でしたね。

 

 

速水御舟-日本美術院の精鋭たち-

 

恵比寿の山種美術館で開催された、速水御舟展。

連休最終日の10月14日まで開催されていました。

速水御舟は近代日本画家の中でも屈指の画力の持ち主。

「炎舞」や「名樹散椿」など有名な作品も多く、現在でもとても人気があります。

今回の展覧会は小規模ながら、御舟とその周辺画家を画題や技法ごとに並べて展示するという、

とても面白い企画展でした。

 

御舟という人は若いころから天才肌の画家で、

日本画の技法という技法はほとんど縦横無尽に使いこなすことが出来ました。

その為なのでしょうか、一つの画風を確立してはさっさとぶち壊すという事を繰り返しているので、

彼の作品は本当に同じ人が描いたの?と疑いたくなるほど画風変化が著しいのです。

南画・宋元画・大和絵・琳派などなど、影響を受けてモノにした画風は数知れず。

日本画の面白さ、奥深さを、一人の画家で体験できる。

こんな意味でも速水御舟は日本人が知っているべき芸術家の一人でしょう

 

 image2063_1『牡丹花(墨牡丹』(1934)

 

さて、近代日本画といえば、美術史的価値にばかり注目されていて(資料がたくさん残っているから?)

実際の絵画としての価値はどこかに置き去りにされている感が否めないのが実状です。

斬新な画題や、当時の画壇における役割なども文化史を語る上で重要であろうとは思いますが、

歴史的価値=絵の価値とは違うということに、どうも日本人の評論家・美術史家は気づいていないようです

自身の美意識のみを頼りに「この絵は価値あり」「こちらは下手」と仕分けることが困難であるため、

自分アピールは大好きだけど他人からの中傷に耐えられないエリート批評家さん達は、

「歴史的価値」というバックアップがあって初めて絵画の価値を表明するわけですね。

だらしないなぁ・・・。

それだけならいいのですが、上手で魅力的な絵が好き。という純粋な鑑賞者を、

素人はこれだから、とか大衆受けする絵だ、とか揶揄するのは本当にやめてもらいたい!

マスコミにこういう情報が流出するだけで、

美術にハードルの高さを感じている私達はビビってしまうというものです。

 

なにはともあれ、

本来は再興院展の研究史として、影響しあう近代日本画家を並列して展示してあったようですが、

同じテーマでありながら、まったく画風の違う画家の絵を並べてみると、

本来の「絵の技術力」が顕著に表れるので、

本当に好きな絵は何か?をじっくり楽しめる企画となったようです。

一般大衆である我々が、好きな絵を好き!と大きな声で語りあえる環境づくりを、

これからの美術館はしっかり作っていってほしいものですね。

 

蛇足ですが。

第一展示室最後にあった美人画(女性画?)コーナーに、御舟作品がなかったのが残念でした。

これもあれば本当に面白かったのに・・・。

だってなんでも描けちゃう御舟が、唯一苦手だったのが美人画でしたからね。

奥村土牛の「美人をブスに描いた」作品や、小倉遊亀の「美人なんか大嫌い画」の横にあれば、

「京の舞妓」で酷評されてすっかり人物画嫌いになってしまった御舟も、大いに面目躍如したのに!

興味がおありでしたら、近代日本画の美人画と称する作品、画集でいろいろと見てみてください。

有名どころで本当に綺麗な人を描いたのは、せいぜい上村松園と鏑木清方くらいだと納得できるはず。

西洋絵画ではいろんなタイプの美人がいるのに、

日本はまったく美しい人を描く文化が育たないお国柄なのでした。

 

文責/篠井 棗

 

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